地球上では、太陽から受けとるエネルギーがさまざまな形態をとりながら、海洋や陸地、生物圏などで相互にやり取りされ、地域における気温変化や降水、風などの現象を引き起こします。気候とは、これらの大気現象の平均的な傾向を指します。気候はさまざまな要因や時間スケールで変動します。気候変動の要因は、大きくは自然的な要因と人為的な要因に分かれます。自然的要因には海洋の変動や火山噴火の影響、太陽活動の影響などがあり、人為的要因としては人間活動にともなう温室効果ガスの増加、森林破壊などがあります。特に近年では、化石燃料の大量消費による大気中の二酸化炭素濃度の増加がもたらす地球温暖化の懸念が強まっています。

気候変動の原因とされる温室効果ガスの排出を抑えることを「緩和」と呼びます。化石燃料の消費抑制や省エネ対策、再生可能エネルギーの普及、二酸化炭素の回収貯留（CCS）や回収有効利用（CCU）技術の普及、植物による二酸化炭素の吸収などが挙げられます。
他方、集中豪雨や熱波の増加など気候変動の影響に備えることを「適応」と言います。渇水対策や農作物の新種の開発、熱中症対策などが例として挙げられます。

2020年10月26日、第203回臨時国会の所信表明演説において、日本政府は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しました。これを踏まえ、経済産業省が中心となり、関係省庁と連携して、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。今後、日本はパリ協定に基づく国際的な気候変動対策の流れの中で、脱炭素化に資する取り組みを推進していくことになります。